2009年8月 5日

人のフィラリア感染

バンクロフト糸状虫 Wuchereria bancrofti (Cobbold, 1877) はヒトのみに寄生する少宿主性のフィラリアであり、寄生箇所はリンパ管、リンパ節といったリンパ系である。雌は体長65~100mm、体幅0.3mm。雄は体長40mm前後、体幅0.1mm。

雌の子宮内の卵から、鞘をかぶったミクロフィラリアが孵化する。ミクロフィラリアは体長244-296μm、体幅8-10μm。最初リンパ管に現れ、リンパ液の流れに乗って血管に移動する。かつて日本にも見られた東アジアの個体群のミクロフィラリアは昼間は肺の毛細血管に潜んでいるが、夜10時頃になると末梢血管に現れる。末梢血中でもっとも多くなるのは午前0時から4時の間で、夜が明けると肺に戻ることを繰り返す。ただし、南太平洋諸島からは昼間に末梢血中に出現する個体群も知られているし、個体群によってはこうした周期性を示さないものある。

末梢血中に出現したミクロフィラリアが中間宿主であるイエカ属やハマダラカ属などのカの吸血により摂取されると、中腸内で鞘を脱ぎ、第1期幼虫となって胸筋に移行する。第1期幼虫はここで2回脱皮して感染幼虫である第3期幼虫にまで発育する。感染幼虫は胸筋から血体腔を経て口吻の根元に集まり、カの吸血時に口吻から脱出してカの刺し口から人体に進入する。感染幼虫がヒトに感染すると3ヶ月から1年後に成熟し、ミクロフィラリアを産出するようになる。成虫は4-5年間生存すると推測されている。

感染者はしばらくは無症状であるが、感染後平均約9ヶ月ほどでリンパ管炎、リンパ節炎が引き起こされ、数週、数ヶ月ごとに熱発作が繰り返されるようになる。この発作は成虫やミクロフィラリアの代謝産物や、カに移行することができずに死滅したミクロフィラリアの死体が免疫応答を引き起こすためと推定されており、九州ではかつてこれを「クサフルイ」と呼んだ。

成虫が寄生する箇所がリンパ管のため、宿主のリンパ管は次第に閉塞する。これは最終的にリンパ管の破壊、にまで至り、体内のフィラリアが死滅した後でも後遺症として残ることになる。リンパ管が破壊されると末梢組織の組織液がリンパ管を経て血管系に回収される循環が阻害されるようになって陰嚢水腫やむくみを来たし、この慢性刺激で象皮症を引き起こすことになる。

アフリカ大陸、アラビア半島南部、インド亜大陸、東南アジアや東アジアの沿岸域、オセアニア、中南米と世界の熱帯、亜熱帯を中心に広く分布し、日本でもかつては九州全域や南西諸島を中心に、北は青森県まで広く患者が見られた。西郷隆盛が罹患していたことが知られている。

『ウィキペディア(Wikipedia)』引用

象皮症の患者はとても悲惨な症状に悩まされています。

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